最近、長期金利の上昇がじわじわと話題に上るようになってきました。これは住宅ローンにおいて「固定金利型」の金利に、これから少しずつ影響を与えていく可能性があります。
短期金利が日本銀行の政策金利によって左右される一方で、長期金利は「10年物国債」の利回りが指標となり、こちらは市場の動向や国の財政への信頼感など、より多様な要因で変動します。
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市場の空気が変わってきている
先日、私も参加している「愛知中小企業家同友会 金融委員会」の定例会がありました。そこで話題になったのが、金融機関が今、預金の確保に本腰を入れ始めているということ。
かつては「お金がだぶついている」とも言われた市場ですが、どうやらその水面下で流れが変わってきているようです。
これまで日本銀行は、黒田総裁のもとで「異次元の金融緩和」を進め、国債を大量に買い入れて市場に資金を供給してきました。しかし、現在の植田総裁の方針は「金融の正常化」。つまり、これまでの“異常な状態”を終わらせ、元の状態へと戻していく動きが加速しているのです。
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「異常」が10年続けば、それが「日常」になる
金利がゼロに近い状態が10年以上続いたため、多くの方がその状態に慣れてしまい、「このまま変わらないのでは」と無意識に考えてしまう傾向があります。
でも、今はその常識が揺らぎ始めています。だからこそ、今一度、住宅ローンの借入については冷静な視点が必要です。
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借入額を見直そう。固定金利を前提に。
これから住宅を建てる、または購入するご予定の方には、以下の2点をぜひ意識していただきたいと思っています。
1. 借入額をできるだけ抑えること
→ 建物の広さや仕様、メーカー選びなど、納得のいく見直しを
2. なるべく固定金利で借りることを前提にする
→ 将来の家計負担を安定させるための“保険”と考える
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変動金利は「読みが当たれば得」。でも…
金利の動きは、プロでも読み切れません。実際に私がお世話になっている先生方でも、今年いっぱいは「これ以上上がらない」と言う方もいれば、「もっと上がる」という見方をする方もおられます。
共通しているのは、「下がる」と見る方はほとんどいないという点です。つまり、横ばいか上昇というのが、大方の見立て。
そうなると、変動金利はかなり“ギャンブル性”が高い選択肢となります。
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変動金利を選ぶなら「固定金利でも払える」前提で
最終的に、固定金利と変動金利のどちらが得だったかは、10年後、20年後になってみないとわかりません。ですが、変動金利を選ばれる場合には、
「固定金利で返済しても家計に問題がないか」を確認してから
という前提を、ぜひ大切にしていただきたいのです。
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最後に──「いつまでもあると思うな、低金利」
市場は静かに、しかし確実に動き始めています。
これまでの金利常識が通用しなくなる日は、そう遠くないかもしれません。
これから家を建てる方、買う方にとって、今こそが「選び方を考え直すタイミング」です。
借入額は身の丈に合ったものを。
金利は、万が一に備えて安定を。
住宅ローンは「買い物」ではなく「人生の設計図」の一部。
慎重に、そして納得のいく選択をしていただければと思います。