近年、空き家の増加が社会問題として取り上げられています。空き家といっても、耐震性に不安のある昭和50年代前半までの建物もあれば、それ以降に建てられた比較的新しい住宅も含まれます。
一方で、新築住宅の着工戸数は少子化や建築費の高騰の影響を受け、減少傾向にあります。これまで新築を購入していた層に話を聞くと、「価格が高すぎて手が届かない」「災害が多く、今は購入に踏み切れない」といった声が多く聞かれます。
価格の問題であれば、「しっかり調査し、問題のない中古住宅を選ぶ」という選択肢がもっと注目されてもよさそうですが、現状では中古住宅が大きく売れているという話はあまり聞きません。
むしろ、多くの人が「そのまま賃貸に住み続ける」ことを選んでいます。経済的な観点から見ると、賃貸は家主に利益をもたらすため、長期的には購入の方が有利とされてきました。しかし、最近はその価値観にも変化が見られます。
また、新築を購入して退去する人が減少したことで、新たに結婚や転勤などで賃貸を探す人にとって、築10年以内の賃貸物件が少なくなっています。その結果、やむを得ず高価格な新築賃貸に入居するケースも増えているようです。
こうした状況の中で、「収益物件を購入したい」という問い合わせが増えているのも興味深い点です。これは、賃貸市場の活況を背景に、不動産投資の関心が高まっていることを示しているのかもしれません。
時代が変わる中で、「すべてが新築である必要はない」という考え方も広がっています。
しかし、現在の住宅市場では、中古住宅の需要と供給がうまくかみ合っておらず、新築・中古のミスマッチが生じていると感じます。このギャップをどう埋めていくかが、これからの住宅市場の課題になると思います。